湯殿山 南東尾根〜姥ヶ岳 (1500m) 2010.03




石跳川〜姥ヶ岳のアイスバーン斜面を行く




 山 域  湯殿山 南東尾根〜姥ヶ岳(1669.7m) 動画
 山行日時  2010年3月14日(日)   
 天 候  風雪のち晴れ  -3℃ (南東尾根付近) 
 メンバー  阿部 菊池 坂野
 行 程  7:52志津〜石跳川〜9:55南東尾根(1300m)〜10:25石跳川〜12:00姥ヶ岳〜姥沢〜ネイチャーセンター〜14:00志津



 今日は月山の山頂狙いか又は村山葉山の斜面で遊ぶか、出発直前まで迷いながら仙台を出発した。予報では前線が通過した後に大陸からの高気圧に覆われ、月山界隈では春スキーの訪れを満喫する日々となるはずだった。でも、今頃先月の様なパウダー天国など期待できるはずも無く、結局何時ものパターンに戻って志津方面を目指した。

 志津に向かう途中で前回同行した阿部さんに遭遇し、志津の駐車場で合流して湯殿山方面を目指すと言う事で話がまとまる。しかし、到着した志津の駐車場は予想外の視界不良と強い風で、山頂方面は絶望的な雰囲気が初めから漂っていた。気温はさほど下がっていない様だが、月山山頂はおろか姥ヶ岳でも厳しい雰囲気で、もう一人合流した西川山岳会の菊地さんと共に取りあえず湯殿山を目指す事になる。
 
【概要】

 何時もより1時間ほど到着が遅い志津の駐車場だが、既に5台ほどの先客さんがいて結構賑やかな様子。準備を整えていると後からお客さんがやって来て、天候不良でも結局何時もと変わらない
雰囲気となる。

 3人が先行して行ったが石跳川方面にはトレースが無く、どうやら湯殿山を目指すのは我々3名のみの様だ。ネイチャーセンター前は最近除雪が入ったのか、すっかり屋根の雪も落ちて周りの雪も最近激減した様子が伺える。最近は悪天候で誰も石跳川に入った様子は無く、堅いバーンに新雪が15cm程載った石跳川左岸を進んで行く。

雪の少ないネイチャーセンター 湯殿山南東尾根のぶな疎林帯

  石跳川の屈曲点の先から対岸の南東尾根に取り付き、緩やかなブナ林の尾根を辿って進んで行く。森林限界点前で一本を取った後は次第に視界も利かなくなり、森林限界から先のトラバース斜面を登り切ると強風が吹き付ける。この先の山頂方面は殆ど期待できそうにもなく、湯殿山の東斜面は諦めていったん南東尾根を下降する。期待した東斜面だったが、底の固い斜面に締まりのない新雪が15cmほど載り、いかにも不安定な様子じゃ近づく訳にもいかない。

 滑り出しの斜面は意外に深い新雪だがこれが曲者で、重いパウダーには何時もの調子など出る訳も無く、トップが取られてスキーを廻す事は容易ではない。しかし、基礎がしっかりしている阿部さんだけは話が別で、安定した姿勢でリズミカルにショートターンを刻んでゆく。悪雪でもこの位の腕が有ったら山スキーもなお更面白いだろう。

 石跳川に降りる急斜面は薄い雪の載ったアイスバーンとなっており、ちょっと踏み込むとカービング板の欠点が出て廻りすぎてしまう。すっかりタイミングを失ってショートターンすら難しい。吹き溜まりの重い雪に突っ込んだら最悪で、突然ブレーキが掛かって転倒は免れない。

 石跳川から姥ヶ岳への登り返しはこれが意外な全面アイスバーン斜面で、途中からスキーアイゼンをセットしてジグを切って行く。姥沢上部の尾根に辿り着いてみると、4〜5人ほどのテレマーカーが石跳川へ下降するところで、姥ヶ岳方面を見上げると2パーティー5人ほどの先行者が山頂を目指している様だった。

南東尾根1300m地点で下降開始 視界が悪く山頂方面も強風が・・・
石跳川から姥ヶ岳へは全面アイスバーン斜面 姥ヶ岳への斜面もシュカブラ模様
 
 姥ヶ岳の南側斜面を廻り込んで山頂を目指すが、青空が出てきたとは言うものの風は強く、山頂は雪煙が流れて厳冬期と同じ雰囲気が有る。堅いアイスバーンにスキーアイゼンの内側の爪を利かせ、次第に強まる強風に負けずに黙々と前進する。振り返ると後続する筈の菊地さんの姿が無く、少し待ったが結局急な斜面に難儀して下降した様だった。こんな所まで物好きに付き合って頂いて感謝します。

 先行する阿部さんの姿を追うがかなり先を進んでおり、強風には頭を下にして突き進むようにしながら高度を上げる。何時もの悪い癖が出て、山頂を見ると磁石に引き付けられる様にして進んで行く。ようやく山頂を踏んで少し降りるとそこに阿部さんの姿があった。懲りない我々とは異なり、どうやら先行していたパーティーは途中から下降して行った様だ。

 手短にシールを外してさっさと下降したい所だが、風が強いとこれが結構手間のかかる仕事で、何とか準備が整うとようやくスタートとなる。意外と難儀なシュカブラの発達も少なく、洗濯板のような堅い斜面が出てこないのはまだマシで、フラットな堅いアイスバーンにエッジを効かせて降りて行く。リフト上駅への斜面はお待ちかねのパウダーランが楽しめ、後は沢筋通しの斜面にショートターンを刻んで行く。

 しかし、調子が良いのは最初だけで、重いパウダーとモナカ気味の雪に足を取られ、まともなターンなど程遠い雑な滑りとなる。せめてポケロケにしておけば少しは楽だったろうが・・・。
 
 姥沢に降りると菊池さんが我々を待ち受け、後は3人で姥沢下のブナ林を下降して行く。しかし、これがさらに手強い悪雪の連続で、苦労しながらようやくネイチャーセンターに辿り着いた。皆さんすっかりお疲れ模様でしたが、意地で登った姥ヶ岳も悪くは無かった。

先行するボーダーさんの後を追う 山頂方面は厳冬期並みの強風地帯
天候は回復基調 志津の駐車場に戻ってみると湯殿山はご機嫌模様

  


湯殿山 姥ヶ岳周辺 MAP